Tポイントとファミマの関係とエーザイの早期退職者から見えるパパママ調剤薬局経営の将来とは?
エーザイが実施した早期退職者の募集では、当初100人程度を見込んでいたところ3倍の300人から応募があったと新聞報道がありました。これは、全従業員3,400人の9%に相当する応募者です。一方で、ファミリーマートは保有する「Tポイント」の運営会社カルチュア・コンビニエンス・クラブの株式を売却する検討に入りました。
この事実はいったい調剤薬局の将来にどんな影響を与えることになるのか?考えてみました。
エーザイの早期退職者の対象者は?
エーザイの早期退職者の対象者は、45歳以上で勤続5年以上の社員が対象です。2018年12月11日募集を開始し、当初は21日に締め切る予定でした。しかし、100人程度を見込んでいてた募集者が300人に上ったことから、19日に締め切りました。
薬価の毎年改定は製薬会社の経営にも大きな影響を与えている!
2019年から薬価が毎年改定!医薬品卸さんは嘆くが、調剤薬局も他人事ではありません!でも指摘しましたが、薬価の毎年改定は製薬メーカーにとっても大きな問題です。薬価の引き下げは販売価格の切り下げにつながります。また、後発品の使用促進策により新薬が占めるパイが小さくなりますから、既存の薬の売り上げ増は見込むことができません。
そんな製薬業界の将来を見越し、早期退職者は全従業員の9%にも上ったのでしょう。
一方で、調剤薬局経営者の危機感はとても乏しいと私は感じています。
薬機法に薬局・薬剤師の功績は明記される
m3の記事で次のようなことが紹介されていました。医薬品医療機器制度部会は、薬機法改正に関するとりまとめについて、重要な部分を一部抜粋します。
- 2020年までに1包化鑑査支援システムを導入し、薬局の生産性向上を目指すべき理由とは?
- Tiara(PTPシート全自動薬剤払出機)を導入するとピッキングの手間が半分以下に!?
- PTP除包機で業務効率化!一包化の時間短縮と在庫の簡略ができない調剤薬局は生き残れません!
- 調剤薬局に電子お薬手帳の導入はゼッタイに必須!【その理由と選びかた・種類の紹介をします】
- 薬剤師の人件費より安いのに!薬剤師2人分の働きをするEser(錠剤全自動分包機)!?
上記のように、私たちはすでに機械化が調剤報酬改定に影響を与えると、再三にわたって指摘してきました。先のような一文が薬機法に掲載されれば、日数加算や一包化加算は機械がやる仕事という解釈になるはずです。
したがって、調剤報酬の中での点数ということではなく、投薬瓶や軟膏ツボなどと同じ扱いとなることすら想定できます。また、現在は薬剤師1人で1日40枚の処方箋という縛りがありますが、これが80枚以上となることも容易に想像できます。
もちろんですが、今の2倍の処方箋を取り扱ってやっと、調剤報酬は今と同じレベルが確保できるという程度まで引き下げられることになる。
今回の医薬品医療機器制度部会でとりまとめられた内容から、私はそう考えています。でも、ほとんどの薬局経営者にはそういった景色が見えていないようです。
「報告書のとりまとめ公表を受け、日本薬剤師会の山本信夫会長は「納得すべき内容」との認識を示した。」
記事の最下部にこんな日薬会長の発言が紹介されていますが、果たして覚悟の上の発言なのか?それとも単なる認識不足なのか?たぶん、私は会長も何を意味するのか?理解ができていないのだと思っていますが…。
ファミマがTポイント運営会社の株式を売却する!
ファミマは、Tポイント・ジャパンの発行済み株式の15%をCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)から取得している大株主でした。しかし、既存店売上の伸び悩みから、ファミマは楽天やdポイントなど複数の共通ポイント導入を進めています。そして、その理由の多くがキャッシュレス決済にあります。
キャッシュレスと共通ポイントの関係性!
2019年、正月ボケも修正された1月中旬になり、ペイペイなどキャッシュレス決済のコマーシャルがとても増えていることに気づきました。また、セブンイレブンなど、スマホアプリを紹介しているコマーシャルも明らかに増えています。さらに、ユーチューブの動画を見ていたら小栗旬が出ているキャッシュレスのコマーシャルを何度も目にしました。さて、この事実はいったい何を意味するのでしょうか?
- LINEペイを導入しない薬局は生き残れない!そう思わずにはいられない経産省の実証実験とは?
- オンライン服薬指導で処方薬が自宅に配送される時代がすぐそこに来る!としたら…
- 2019年、調剤薬局の患者数のさらなる減少を加速するであろう重要なトピックスとは?
薬局経営者がキャッシュレス決済を利用するようになるかどうかは置いといて、キャッシュレス決済の利用者は確実に増えます。また、スマホと連携したIoTもどんどん普及することになります。
ファミマは、そんなキャッシュレス決済機能をもつ楽天やNTTドコモとの連携を「欠かすことができない!」と判断しました。また、私もスマホおよびスマホを使ったキャッシュレス決済とIoTの普及を想定しています。先の薬機法改正の「技術革新・国際化の状況に適応した制度となるように、適宜適切に見直しを行う」も、これに関連することだと想定しています。
以上のようなことから、私は次のようなキャッシュレス決済に対応できない調剤薬局は、「よほど立地に恵まれている」とか「イベントなどで集客力がある」といった特徴がない限り2020年までに淘汰されると考えています。
医薬品医療機器制度部会、最後まで医薬分業めぐり紛糾!
m3の12月14日、厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会についての記事では、次の点も見逃せないポイントです。
今後、街の調剤薬局と高度な専門性をもつ調剤薬局で調剤報酬が大きく違ってくることに疑いはありません。
・患者アクセスの迅速化に資する承認審査制度の合理化
・国際的な整合性のある品質管理手法の導入
・安全対策の充実◆薬剤師・薬局のあり方
・患者の薬物療法を支援するために必要な薬剤師・薬局における取組
・患者が自身に適した薬局を主体的に選択するための方策
・遠隔服薬指導等
・対人業務を充実させるための業務の効率化
・麻薬流通の合理化◆医薬品・医療機器等の製造・流通・販売に関わる者に係るガバナンスの強化等
・製造・流通・販売に関わる者のガバナンスの強化
・個人輸入に関する規制の見直し等
まとめ
政府の政策や医薬品医療機器制度部会の議論、スマホアプリやキャッシュレス決済、自動分包機、遠隔診療など、さまざまな動きを総合的に判断すると、2022年の調剤報酬改定までもたない調剤薬局が続出することになりそうですね。
流れとしては、2019年の春ごろから患者数の減少率が2倍程度に跳ね上がる。それが増税時の10月からさらに加速する。2020年の調剤報酬改定を迎える4月には、なんの対策もしていない調剤薬局は2割近く患者数を減らしていることになるでしょう。
また、その後も患者の流出は続きますから、2022年までに支店を持つ調剤薬局の中小店では勤務薬剤師の離職が大きく進むことになるでしょう。このとき、経営者が自分の給与を返上すれば話は別ですが…。
したがって、支店をもつ調剤薬局の経営が成り立たなくなりM&Aは大きく進む。と、言いたいところですが、どうなるんでしょうかね?足元を見られますから、おそらく借金だけが残るようなM&Aになるような気がします。
一方で、しっかりとした取り組みをすれば患者数は増えます。とくに、田舎でドラッグストアの調剤併設店がないのなら、患者数を大幅に増やす最大のチャンスとなります。
そこで、もし、そういった患者数を増やす取り組みについてのヒントが欲しい方は、私のクライアントが実際に使ったチラシの見本をプレゼントさせていただきます。別記事「誰にでもカンタンかつ低コストでできる、調剤薬局が新規患者を獲得する方法とは?」から無料でダウンロードできますのでお役立てください。
【重要】
調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました。
この大きな経営環境の変化の波に乗り、大きく新規の患者数を増やそう。そう思われる方は、「キャッシュレス戦略セミナー2019」にご参加ください。
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