LINEペイを導入しない薬局は生き残れない!そう思わずにはいられない経産省の実証実験とは?
「LINEペイを導入しない薬局は、本当に生き残れないだろうな~」
「東京でココカラファインが近くにある調剤薬局はもう、先が見えているな~」
「よっぽどの経営努力が、それも集客ができるような経営ができな薬局は2~3年で終わるな…」
経済産業省がコンビニエンスストアやドラッグストアと共同で行う実証実験のニュースを見て、私はあらためてそう思わずにはいられませんでした。経済産業省は「LINEペイを使った食品ロスの削減」の実証実験を2019年2月から始めるそうです。
実証実験にドラッグストアが参加する!
2019年2月から行われる実証実験では、ドラッグストア大手のココカラファインや都内のコンビニ大手の複数店舗が参加する予定です。ココカラファインは調剤も手掛けていますから、その近隣の調剤薬局は今後とても大きな影響を覚悟する必要があります。
HPの紹介では、月間1,000枚以上処方箋を応需している店舗数は第1位のようです。また、ココカラファインには本体の他、ココカラファイングループがあります。セイジョーやセガミ、ジップ、ライフォート、スズラン薬局、メディカルインデックス、くすりのコダマ、クスリ岩崎チェーンなどがありますので、これらの調剤薬局が近隣にあるのなら、よほど腹をくくって対策をとらなければいけません。
ココカラファインの調剤事業
ココカラファインには処方せんを送信できる上、お薬手帳機能もあるアプリがあります。
また、お薬の準備ができたら薬局からアプリを通じて連絡が届きます。
この便利な機能をいちど味わったら、もう他の薬局にはいかないでしょう。また、アプリなのでスマホ画面に残りますからそれはなお更でしょう。
ココカラファインで対応しているキャッシュレス決済
実証実験が行われるLINEペイは当然使えますが、幅広いキャッシュレス決済に対応しています。
ココカラファインが対応しているキャッシュレス決済
- 電子マネー:nanaco、楽天Edy、ポストペイ型のiD、QUICPay
- 交通系電子マネー:Suica、PASMO、Kitaca、toica、manaca、SUGOCAなど
- クレジットカード:VISA/MasterCard/JCB/AMEX/Diners/UnionPay
- QRコード決済:LINEペイ
- 商品券・ギフトカード :お米券、ビール券、JCBやVJAなどクレカ系ギフトカード
- デビッドカード:利用可
- その他:JCBギフトカード、VISAカード
ほぼすべてのキャッシュレス決済に対応している上に、ポイント還元も手厚いようです。
ココカラクラブカード
ココカラファイングループ(セイジョー、セガミ、ジップ、ライフォート、スズラン薬局、メディカルインデックス、くすりのコダマ、クスリ岩崎チェーンなど)で使える、独自のチャージ式の電子マネーがココカラクラブカードです。
- このカードで支払いをすると0.5%分のキャッシュバックが受けられます
- 毎月10日と25日には+1%。キャッシュバックは翌月の10日にチャージ分に加算されます
- キャッシュバックの他にポイントも貯まります。貯まるポイントは100円で1ポイントのココカラポイント
- もちろん、調剤での支払いもできます
- 毎月数回ポイント5倍デーがあります
- マレにポイント7倍デーも開催されます
3~6については、以下のような会員証の提示でココカラポイントが貯まります。調剤でもポイントが1%貯まりますが、倍デーについては除外です。
こんなサービスがありますから、今現在は門前薬局を利用しているとしても、その患者が食品や日用雑貨などでココカラファインを利用しているのなら流出は免れないでしょう。そして、流出した患者が二度と門前薬局に戻ることはありません。
実証実験が食品ロス削減という事実も忘れないでください!
この実証実験は、食品ロス削減のために行われます。したがって、この実験に参加する人はココカラファインを日常的に利用する人たちだと考えていいでしょう。そして、ここでLINEとLINEペイが次のような流れで利用されます。
ココカラファインで行われる実証実験の流れ
- 店頭の食品の消費期限が近付いたらLINEで通知
- 消費期限が近付いた食品の値下げにも自動対応
- LINEペイを利用して購入するとポイントがたまる
ドラッグストアやコンビニ店では食品の廃棄ロスが削減される一方で、売り上げ確保につながります。また、スーパーなどでは閉店時間が近付くと、店員が「値下げ」シールを貼りますが、そういった手間もなく「いつ」「どれくらい」販売価格を決めることもできます。
なにより、この実証実験はココカラファインの宣伝にもなります。また、LINEペイに利用者が慣れてくれた上で、ヘビーユーザーの育成にもつながります。
今後、さまざまなサービスがスマホでつながっていく!
電子お薬手帳はもちろんですが、「オンライン服薬指導 処方薬自宅で入手可能へ」で紹介したように遠隔診療もスマホでつながります。すでに、スマホを利用した家庭内の見守りサービスなども実施されています。今後、スマホから送信された処方箋と調剤レセコンが連動することも容易に想像できます。また、これに続き、イーサーなどの高機能な自動分包機能がついた機器が連動するようにもなるでしょう。
薬科大学の学生の就職希望先は、そのほとんどがドラッグストアとなりつつあります。したがって、今後ますます中小調剤薬局は薬剤師不足に悩まされることになるでしょう。そんなとき、このようなスマホと連動して働く機器の設備投資は必要不可欠です。また、こういった設備投資ができない薬局は、既存の薬剤師も転職を決断する流れとなることも想像に難くありません。
それには、とにかく利益の確保が必要です。しかし、ほとんどの調剤薬局経営者は、利益について調剤報酬という一点しか見えていないようです。しかし、調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益ではないでしょうか?
また、今後は中小調剤薬局では薬価差益はゼロというより、廃棄ロスや在庫を考えればマイナスとなるでしょう。さらに、調剤報酬が増える方向になることなどあり得ません。それも、一方的なルール変更が行われます。
一方で、患者数は経営努力で増やすことができます。しかし…
中小調剤薬局経営者は常識に囚われている!
「今後、生き残る調剤薬局運営という常識をいちど疑ってみませんか?」でも指摘しましたが、私はほとんどの薬局経営者が常識に囚われすぎていると感じています。念のためにその常識を確認しておきましょう。
ポイント適切な薬局運営の常識!
- 患者が入りやすく、気軽に相談できる店舗になっているか?
- 医療機関との連携はとれているか?(疑義照会や処方提案、処方医へのフィードバックや残薬管理・服薬管理など)
- 服薬指導やジェネリック医薬品の案内など、患者へ適切な情報を提供しているか?
- 発注のムダの排除。定期的な棚卸による在庫管理
- 経営状況の把握と分析
- かかりつけ薬剤師による指導や後発品加算の算定
断言しますが、こういったことをどんなに厳密にやっても患者数が増えることはありません。上記のことはやらなければいけないことで、「やれば患者が寄ってくる」こととは違います。では、患者が寄ってくることとはどんなことなのか?
それを考えるのが経営者の仕事です。ここではひとつヒントを差し上げましょう。
患者が薬局に対して不満に思っていることベスト3は、
- 待ち時間が長い
- 在庫切れ
- 薬剤師の言葉遣いや態度
では、感謝の理由ベスト3は?
- 薬の説明をきちんとしてくれた
- 薬剤師の言葉遣いや態度が良かった
- 質問や相談にきちんと答えてくれた
おそらく、ほとんどの薬剤師はこういった患者の不平不満と感謝の話から、先のような「適切な薬局運営の常識」を考えてしまうのでしょう。ですが、重要なのは「不平不満」は本質的なものですが、感謝の理由は本質ではありません。
言い換えると、不平不満は「本音」です。
一方で、感謝の理由は、その質問に沿った内容をムリに口にしただけ。もっと言えば、その質問者の意に沿って、質問者が気に入るであろう内容を答えただけのこと。決して本音ではないのです。
この話を正確に理解できないと、決して本質的な経営などできません。
逆に、この理解ができれば患者の集客には何が必要なのか?容易に想像できます。
ただ、ここからが難しい。
端的に言えば、経営で集客に必要なこととは、とてもシンプルでカンタンなことの寄せ集めです。
でも、易しくはありません。
ここが経営の難しいところですが、要は、経営とはスポーツのようなものだとお考えください。例えば柔道の背負い投げ、背負い投げのやり方を本で読んだり聞いたりするだけでできますか?できませんよね。
同じ動作を何万回も繰り返し、体で覚えなければ本当の背負い投げなどできるものではありません。また、そのためには筋力も必要ですし、相手との駆け引きも必要です。経営における集客も同じで、単純な作業ですが患者との駆け引きを想定した取り組みが必要になります。
これでなんとなくでもお解りいただけたと思いますが、
患者を集客するのに必要なこととは?
- 患者が薬局に足を運ぶにはどんなことが必要か想定する
- その想定に基づき、どんなアイテム(例えばチラシやLINEなど)を使うか決める
- それを試す
- うまくいったらそれを続ける
- うまくいかなかったらやり方を変える
- なんとなくうまくいったくらなら、少し修正して比較してみる
- それをシステムとして設計図に落とし込む
- あらたな想定がでてきたら、また1から同じことをする
今回のお話なら、LINEとLIENペイを使った実証実験です。ここからどんなことが想定できるのか?
また、自社の近隣にココカラファインがあるのなら、いったいどんなことが起こりえるのか?
想定し、適切な経営をしていきましょう。
まとめ
実は、ドラッグストアになぜ集客力があるのか?
それを想定すれば、自社で何をすれば門前以外の病院から患者が足を運ぶようになってくれるのか?おおよそですが、その答えはわかります。
要は、そういった想定を経営者がするのか?それともしないのか?
患者の集客ができるのかどうかは、たったこれだけの差にすぎません。
もちろん、その想定に基づいて行動をすることは必要です。また、先のように想定に基づいた行動がいちどでうまくいくことなどほとんどありません。うまくいかなかったらやり方を変え、あらたな行動をしていく必要があります。
今回の実証実験により、ココカラファインとコンビニの利用者がLINEとLINEペイを使いこなすようになります。では、LINEペイを使い始めた人が現金決済を望むでしょうか?
現在、LINEペイを使うと少なくとも3.5%のポイント還元があります。多い人だと5%のポイント還元です。それを使うようになった人が、現金決済を望むはずもありません。また、LINEペイを使うようになった人のほとんどは、電子マネーやクレジットカードなど他のキャッシュレス決済を使うことはないでしょう。
こんな想定は誰にでもできますよね。
また、この記事で説明したように、ココカラファインでは調剤でも会員証の提示でポイントが貯まります。商品購入でももちろんポイントが貯まりますし、ポイントが5倍も貯まる日が月に何日かあります。
ならば、処方箋をココカラファインにもっていけばLINEペイの3.5~5%+ここからポイント1%で4.5~6%のポイントが貯まることになります。
「LINEペイは使えますか?」
そう聞かれて、いくら丁寧に
「まことに申し訳ありませんが、LINEペイには対応しておりません。クレジットカードは使えますがいかがされますか?」
そう答えても、患者はそっぽを向くのは自然なことではないでしょうか。
今ならまだ間に合います。また、他でもご紹介しているように2019年10月の消費税増税は患者(消費者)が動きだす大きなチャンスです。何が起きるのか?適切に想定して行動しましょう。
これさえできれば、2020年4月の調剤報酬改定を笑って迎えることができます。
きっと、うまくいくよ!
【重要】
調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました。
この大きな経営環境の変化の波に乗り、大きく新規の患者数を増やそう。そう思われる方は、「キャッシュレス戦略セミナー2019」にご参加ください。
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