2019年、調剤薬局の患者数のさらなる減少を加速するであろう重要なトピックスとは?
「2019年はフィンテック×リアル元年」辻 庸介
金融の専門家に言わせると、2019年はフィンテックを使ってあらゆるリアルの業界が動く年になるそうです。その最たる例がキャッシュレス化であることは、私が指摘するまでもないでしょう。
ソフトバンクのペイペイや、みずほ銀行と連携をはじめたLINEペイ、楽天ペイなどキャッシュレスの仕組みを提供する企業も増えてきました。それが、インターネット上の決済だけでなく、街の飲食店や調剤薬局など、あらゆるリアル店の決済がキャッシュレスになります。
お金の流れがすべて記録に残せるようになる!
キャッシュレス決済を利用する効果とは、単なる決済の利便性向上にとどまりません。なぜなら、キャッシュレス決済により、今まで現金決済では残らなかった「個人のお金の流れ」がすべてデーターベース化されるようになります。その意味がわかりますか?
AIが最適な家計配分をアドバイスしてくれるようになる!
キャッシュレス利用によるお金の流れがデーターベース化されると、これをAIなどのテクノロジーと組み合わせることができるようになります。また、AIがムダな使い方や最適な家計の配分、貯金や適切なポートフォリオの提供などをアドバイスすることで、誰もが簡単に資産を増やせるようになります。
法改正もこの流れを後押し!
2019年10月の消費税増税時に実施されるポイント還元策により、キャッシュレスかは大きく普及することになります。が、それを後押しする法案が2018年11月に改正成立しました。それが、犯罪収益移転防止法です。
これまで銀行の口座開設などは郵送で本人確認書類を送る必要がありました。しかし、この法案改正により、今後はインターネットで本人確認が完結します。
- キャッシュレス決済手段の多様化
- 本人確認がネットで完結
このふたつにより、キャッシュレス決済を使うハードルが大きく下がることになります。郵送で本人確認書類を送るのは面倒です。人は変化を嫌いますから、こういった作業がキャッシュレスを申し込む大きなハードルでした。それがネット上で完結するわけですから、その利用が増えることは自然な流れでしょう。
個人のお金の流れにさまざまな関連サービスが提供される!
個人のお金の流れを把握し、課題の解決をアドバイスするサービスはすでに提供が始まっています。例えば、家計管理のサービスでは、毎月特定のサービスを使っているといったデーターに基づき、「そのサービスにはこのクーポンが使えます」とお得に利用できる情報が提供されます。また、毎回カフェを使うなら、「このお店はこういったサービスがありお得ですよ!」など、消費行動の幅を広げるきっかけとなるアドバイスもしてくれます。ならば…
例えば、処方箋を調剤薬局にもっていくと、そのサービスが「ウエルシアにもっていくとTポイントが貯まりますよ!」という情報が提供されるようになるでしょう。怖
2019年に調剤薬局の患者数を減らすであろう重要なトピックスとは?
2019年10月に消費税が8%から10%に増税されます。しかし、前回の消費増税時に駆け込み需要とその反動による景気の落ち込みがあったことを踏まえ、政府はさまざまな施策を用意しています。
✓飲食料品は、酒類と外食を除いて軽減税率制度を導入
これらは税率を8%に据え置きました。コンビニなどの店内にあるイートインコーナーで食べると外食扱いとなりますが、テークアウトや宅配、出前などの「中食」は8%の軽減税率となります。
✓キャッシュレス決済を利用するとポイントが還元される
✓プレミアム商品券の発行
重要なポイントは、QRコード決済(ペイペイやLINEペイなど)がスマホを利用するという事実です。
携帯電話市場のサービス競争激化!
2019年、携帯電話市場には第4のプレーヤーが参入します。それが楽天で、NTTドコモやソフトバンク、KDDIの大手3キャリアより3割程度安い料金で市場に参入するとされています。
楽天が3割程度安い料金で参入することを見越してか、すでにNTTドコモは2019年4~6月に現行より2~4割安い新プランを導入する方針を打ち出しています。したがって、各社は通信事業における収益の低下を免れることはありません。そのため、スマホとさまざまな機器をつなげたIoTのサービスに活路を求めています。
通信以外のサービス事業で収益モデルを育てる!
交通や農林水産、エネルギーなど、各社はさまざまなIoT事業を計画している法人顧客と連携を深めています。次世代通信規格5Gでは自動運転がそのひとつですが、調剤薬局に大きな影響を与えることになるのが遠隔医療の実用化です。
近未来、遠隔診療と電子処方箋は必ず普及する!
近未来と書きましたが、もしかしたら2022年にもあり得るほど近い未来を私は想定しています。医療費や介護費用の負担の増大は、それほど大きな問題だからです。したがって、遠隔診療と電子処方箋の普及は患者が次のようなサービスを提供できる薬局を選択することになります。
この流れの中に、事務職員や薬剤師の仕事はありません。薬剤師は、この一連の作業が終わった後、監査をするという流れになります。また、自動監査システムではほとんどミスがないところまで進化しますから、今までの薬剤師の仕事が一変することになるでしょう。
そのため、私は1人1日40枚という処方箋の縛りが、2022年には80~100枚となると想定しています。もちろん、一枚当たりの調剤料は半分以下に引き下げられることになります。つまり、今までの倍の処方箋をさばいて、やっと同じ収益を得ることができます。
※ 機械が仕事をするようになるので、日数加算や一包化加算などは減算されるでしょう。電気代と分包紙代に少し点数がつくといったところでしょうか?
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キャッシュレス化およびスマホ関連サービス!トピックス2019
2019年、スマホおよびキャッシュレスにおいてどんなトピックスがあるのか?ここで確認しておきましょう。
- 4月、Tポイントを使って金融商品を購入できる「Tポイント投資」が開始
- 4月、KDDIがスマホ決済の新サービス「auペイ」を開始
- 5月ごろ、セブン&アイ・ホールディングスが独自のスマホ決済サービスを導入
- 9月前半、ワイモバイルが通信料金を1~2割引き下げ
- 4~6月、NTTドコモが携帯電話の通信料金を2~4割引き下げ
- 9月以降、携帯電話の中古端末でも「SIMロック解除」を義務付け
- 2019年中、キュア・アップがニコチン依存症治療アプリを提供。治療を目的としたスマホアプリの保険適用が実現
ご覧のように、キャッシュレス決済サービスはさらに増えることになります。
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まとめ
各社とも自社の決済手段を消費者が選択するよう、さまざまなキャンペーンを打ち出すようになります。すでに、セブンイレブンはアプリでお得なクーポンの提供をテレビCMで謳っています。このアプリが、独自のスマホ決済につながることは容易に想像できます。
2019年、私は「調剤薬局が廃業する、はじまりの年となる!」と指摘しています。このキャッシュレス化の波に乗れない調剤薬局は大きく患者数を減らすことになります。また、設備投資ができなかった薬局は、今後の調剤報酬改定を乗り切ることはできないでしょう。
患者数の減少は、おそらく夏ごろには顕著となります。また、10月以降はそれが加速することになるでしょう。つまり、今まで1年で3~5%の患者数が減少していましたが、それが3か月周期程度と加速することになります。例えば、3か月ごとに5%の患者が流出すると、1年後の患者数は次のようになります。
0.95×0.95×0.95×0.95=0.814。1年後、おおよそ患者数は2割減少することになります。
近隣に複数のドラッグストアの調剤併設店があるのなら、そんな調剤薬局はこれ以上のペースで患者数が減少するでしょう。私の想定は、そんな薬局の患者数は1年後に3分の2程度です。
2019年、調剤薬局にはじめて経営者の力量が求められる時代がきました。
これは、力のある経営者にはとても大きなチャンスとなります。適切な手立てを打てば、患者数を大きく増やせる可能性があります。ぜひ、このチャンスを活かしてください。
患者数を増やす施策について、重要なポイントは患者への「教育」です。
適切な情報で患者を教育してあげれば、既存患者の流出を防ぐことができます。また、ご家族が他の薬局を使っているのなら、その処方箋を獲得できることでしょう。さらに、ライバルの調剤薬局から流出する患者も自店に招き入れることも可能でしょう。
そしてもし、そういった患者の教育についてのヒントが欲しい方は、私のクライアントが実際に使ったチラシの見本をプレゼントさせていただきます。別記事「誰にでもカンタンかつ低コストでできる、調剤薬局が新規患者を獲得する方法とは?」から無料でダウンロードできますのでお役立てください。
【重要】
調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました。
この大きな経営環境の変化の波に乗り、大きく新規の患者数を増やそう。そう思われる方は、「キャッシュレス戦略セミナー2019」にご参加ください。
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