調剤薬局も対応は急務!コンビニ大手は全店で消費増税対策のポイント還元を決定!

セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなど、コンビニエンスストア大手3社は、ともに2018年10月の消費税増税に伴い政府が導入するポイント還元策を全店で実施することを発表しました。これが、調剤薬局にも大きな影響を与えることは想像に難くありません。

大手3社の店舗数は52,000店弱で、国内コンビニの9割超を占めます。その中で直営店は1,000店程度で、各社の負担額は直営店文だけで数億円になるとされています。

全店ベースの1店当たりの平均客数は月間でおよそ2万6300人。1店あたり1日848人。これに店舗数52,000を掛けると、848✖︎52,000=44,096,000と、おおよそ毎日4,400万人がコンビニを利用していることになります。

さて、これだけの人が毎日利用するコンビニ全店が政府のポイント還元策を実施することになりますから、キャッシュレス 決済の利用を希望する消費者が大きく増えることは間違い無いでしょう。

政府のポイント還元率は大手と中小で差がある!

2019年10月の消費税増税対策の柱とするキャッシュレス決済時のポイント還元制度では、コンビニや外食、ガソリンスタンドといった大手系列のフランチャイズチェーンは、中小を含む全店の還元率を2%、チェーン以外の中小店は5%となります。

コンビニやファストフードなどのチェーン店には主に個人や中小企業が営む加盟店と、本部の直営店が混在しています。その内、中小加盟店には国費で2%ポイント還元負担するのに対し、大手の直営店は国の支援対象になりません。大手コンビニ3社の直営店は、これを自己負担することで足並みをそろえることにしました。

ポイントはクレジットカードや電子マネーなど、現金以外での支払い時に付与されます。また、小売りだけでなく飲食や宿泊といったサービス業でも実施され、対象の店は中小企業基本法の定義(小売業だと資本金五千万円以下または従業員五十人以下)で線引きする見通しです。

  • 小売業:資本金が5000万円以下か従業員が50人以下
  • サービス業:資本金が5000万円以下か従業員100人以下の事業者
  • 中小の小売業では、ポイント還元率は5%で政府が支援
  • コンビニなど中小企業がFC加盟店として運営する店舗は還元率2%
  • 大企業であるコンビニ本部が運営する直営店は制度の対象外で政府は支援しない。

小売業や外食でも、中小企業が運営するFC店と大企業の直営や大企業のFC店などが混在します。まだ、対応を決めていないチェーン店も多いようなので、コンビニ業界の対応が他業界にも影響を及ぼすことは間違いありません。

※ 調剤はポイント還元の対象外です

ファミリーマートが対応する共通ポイントを拡大!

Tポイントでお馴染みだったファミリーマートですが、段階的にNTTドコモのdポイントと楽天のスーパーポイントを使えるようにすると発表しました。ドラッグストアとの競合も激しくなり、集客数が伸び悩むコンビニにとって、共通ポイントは集客にとってそれほど重要な要素ということでしょう。

ファミリーマートがTポイント独占を止めたもうひとつの理由!

Tポイント。なにが面倒化と言えば、わざわざカードを店員さんにわたさなければいけないことです。一方で、楽天やドコモのサービスは、そのほとんどがスマホで完結します。ファミリーマートは、消費者がそういった利便性を優先していること。また、その利便性故に、Tポイントの後発でありながらドコモや楽天が会員数を増やしてきたことに危機感をもったのでしょう。

では、そういったスマホを持ち歩く人々が、キャッシュレス決済を選択したらどうなるのか?おおよそ、想像はつきますよね。

経産省とドラッグストア、コンビニが共同で行う実証実験とは?

詳しくは別記事LINEペイを導入しない薬局は生き残れない!そう思わずにはいられない経産省の実証実験とは?」に書きましたので、ここでは簡単にご紹介します。

経済産業省がドラッグストアなどと共同で行うのは、食品廃棄ロスの削減の実証実験です。簡単に言えば、LINEを使って消費者に賞味期限が近くなった商品を連絡する。販売側であるドラッグストアなどは、その商品の値下げを自動的に行ってその情報もLINEで消費者に届く。また、その情報を得た消費者が来店し、それをLINEペイで購入するといった流れで、どれくらい食品ロスを削減できるかという実験です。

新聞記事では、この経済産業省と実証実験を行うドラッグストアとしてココカラファインが紹介されていました。ココカラファインはHPによると、月間1,000枚以上の処方箋応需店が全国第1位だそうです。

忘れてはならないのはポイント付与です!

LINEペイを利用すると、現在おおよそ3.5~5%のポイントが貯まります。また、ココカラファインもまた、ドラッグストア独自のポイントを消費者に与えています。

ココカラファインでは5倍デーと称して、月に数回ポイントが5倍貯まる日があります。また、マレに7倍デーもあるようです。これを合計すれば、少なくとも4.5~6%、5倍デーを利用すれば8.5~10%、7倍デーなら10.5~12%もポイントが貯まります。

さらに、処方箋でもポイントが貯まります。こういった事実から、この実証実験がはじまる2019年2月以降、ココカラファイン近隣(どうやら都心部で実証実験が行われるようです)の調剤薬局は大打撃を被ることになるでしょう。

消費者の混乱を招くのは必至!だからこそ、チャンス!

  • 5%還元
  • 2%還元
  • 還元なし

二種類の還元率と、還元策のない店が併存しますから、消費者の混乱を招くのは必至です。ですが、消費者が混乱するのは情報が乏しいからです。逆に、適切に情報を与えれば、消費者はメリットのある方向に向かうことになります。したがって、中小調剤薬局にはチャンスとなります。

※ ただし、私はポイント還元策から除外されたドラッグストアは独自のポイント還元策に打ってでると想定しています。詳しくは別記事「消費税増税時、ポイント還元対象外となったドラッグストアはどう動くのか?想定してみました。」をお読みください。

なぜ、チャンスか?

増税時の還元ポイントは調剤にはつきません。そのため、キャッシュレスへの対応を怠る調剤薬局も少なくないでしょう。また、キャッシュレスに対応すれば手数料負担をともないます。そのため、キャッシュレスには対応していても、それをオープンにしない薬局も多々あるでしょう

重要なのは、増税時のポイント付与により消費者の店舗選択基準に明らかな変化が現れること。一定割合の人たちは、必ずお得でないお店を避けるようになります。そしてそれは、調剤も同じです。

繰り返しますが、調剤に還元ポイントはつきません。しかし、そういった事実を正確に理解する消費者(患者)がいる一方で、知らない人も一定割合は必ずいます。そしてそんなとき、人は必ずムードに流されます。したがって、一定割合の人はドラッグストアに処方せんを持ち込むようになります。なぜなら、消費者(患者)は、ドラッグストアがキャッシュレスに対応していることを認識しているからです

ここ2~3年、近隣に調剤併設のドラッグストアがあるのなら、前年比で患者数/月は確実に減少しているはずです。この流れが、増税時に加速されることは想像に難くありません。ならば…

勘の良い方なら、これが大きなチャンスであることがお分かりになることでしょう。

テレビのワイドショーや雑誌などでは、増税前からポイント還元にまつわる情報が氾濫することになります。その情報に便乗すれば、キャッシュレスを希望する患者の多くを獲得することができます。

まとめ

郊外にショッピングセンターができたら、駅前の商店街は衰退していきました。また、インターネットでのショッピングが普及した一方で、既存店の売り上げは減少を続けています。

このように、人の消費行動は変化します。そして、この消費行動の変化に対応できなければ、必ずその企業は衰退します。これは街のタバコ屋さんや酒屋さん、魚屋さんなどを見ても明らかでしょう。

では、キャッシュレスが普及し、患者がキャッシュレスを希望すると何が起きるのでしょうか?私は次のように想定しています。

まず、ありがたいことに、こういった変化に鈍感な調剤薬局経営者がほとんどです。そのため、キャッシュレスを希望する患者の一定割合が他の薬局に足を運ぶようになります。おそらく、そのほとんどはドラッグストアに足を向けることになるでしょう。

しかし、今現在のドラッグストアのキャパ(薬剤師の数)では、その患者をすべて受け入れることはムリでしょう。そのため、その一定割合(おそらく半数以上)はその待ち時間に不満をもちます。

以上のことから、この増税時のキャッシュレス決済によるポイント還元策は、市場に大きな変化をもたらすことになります。また、調剤薬局業界において、今後は二度と起こりえないほどのチャンスになります。(わかるかな?)

逆に、この意味がわからない経営者は…

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【重要】

調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました

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