一包化加算がとれなくなったら調剤薬局の収益はどうなる?

2019年1月5日

前回、「日数加算や一包化加算はいずれなくなる日がやってくる?!」という記事をご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか?

 

「うちのまわりはそんな機械が導入されている薬局なんて見たことないから大丈夫」

「もしも、そういった機械が導入されたらやばいかも・・・」

「もし加算が減ったとしてもすぐにではないから大丈夫」

 

このように色々と思われる方もいらっしゃるかもしれません。地方の薬局であれば、機械化など夢のまた夢と思う方も多いかもしれません。しかし、機械化の波は想像以上に速いペースで進んでしまうのです。

 

2007年にiPhoneが誕生してから11年が経ちましたが、「ガラケー」といわれる携帯電話が全盛期だったそのころ、現在のスマートフォンの席巻ぶりを予想できた人がどれほどいたでしょうか。新しく価値あるモノはその普及期に入ると、爆発的な伸びを見せながら広まっていきます。スマートフォンの先駆けとなったアップル社のiPhoneは最初の5年間の販売台数が平均して前年比で2.4倍も伸びていたというので驚きです。

 

iPhoneの爆発的な拡大を見ても、日本におけるAI(人工知能、RPA=ロボットによる業務自動化も含む)の黎明期が2017年であるとすれば、AIやロボットを導入する大企業・中小企業の数は、2018~2022年の5年間で前年比2倍のペースで増えていっても何ら不思議ではありません。

 

このことから機械化があっという間に進む時代が来ると思うのはわたしだけでしょうか?

 

では実際に一包化加算が減らされていった場合、薬局にどういった影響が出るのかの話をしようと思います。これは単純な話で、みなさんお分かりいただけると思いますが、薬局の利益が確実に減ります。

 

では実際に、

 

・一包化加算が半分もしくは0になったら?

 

の2パターンをシミュレーションしてみましょう。現行の一包化加算は以下の通りです。

 

イ 42日分以下の場合投与日数が7又はその端数を増すごとに32点を加算して得た点数

ロ 43日分以上の場合220点

 

シミュレーションに用いる薬局の条件は以下の通りです。

 

・一包化加算を算定している処方せんが20枚/日

・一包化する処方の日数は28日分

・1か月の営業日が25日

 

1年間で一包化加算を算定することで得られる利益は、

 

128点(28日分で算定できる一包化加算の点数)×20人(1日に一包化加算を算定する人数)×25日(1か月の営業日)×12か月×10円=7680000円

 

となり、年間で768万円の利益になります。薬剤師で換算すると1.5人分ほどの給料になることがわかります。しかし、それが半分もしくは0になったとしたらどうでしょうか?

 

その減った分の給料が払えなくなってしまいますので、経営者であれば自分の給料を減らせばよいですが、薬剤師を雇っている場合は薬剤師をやめさせなければならなくなってしまいます。そうすると人手が足りなくなってしまい、仕事が回らなくなってしまい薬局の維持も困難になってしまいます。

 

このように今の調剤薬局にとって一包化加算は命綱でもあるのです。最近は薬局業界に厳しい改定が続いており、今回お話した内容も近々起こりうる話です。もしそれが起こってしまったときに今までのように自分の薬局が生き残っていけるのか?

 

「生き残っていけるはずがない・・・」

 

この記事を読んだあなたがそう思ったのであれば、そうならないように準備をしておく必要があります。

 


【重要】

調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました

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