今後、調剤薬局の経営が劇的に悪化するであろう7つの理由!

2019年1月6日

これは、調剤薬局経営者にはとても重要なお話です。ここ2〜3年で調剤薬局の多くは、劇的に患者数を減らすことになるでしょう。この予想の根拠は、私のクライアントが門前以外の病院から順調に集客できているからです。

この集客とは、キャッシュレス決済の周知です。クレジットカードや電子マネーが利用できることをチラシやポスターで周知している。たったこれだけのことで、ポイントに敏感な患者さんが少しずつですが来店されるようになっています。

お盆明けからはじめたこの新たな取り組みで、11月は1店舗平均で月20枚ほど門前以外の処方箋が増えています。ということは…

  • 政府はキャッシュレス化を促している
  • 2019年10月の増税に合わせ、キャッシュレス決済の購入額の2%を半年間に渡ってポイントで還元と発表
  • 2018/11/22、購入額の5%9ヶ月に渡って還元する案が打ち出された
  • クレジットカードのポイントもここに上乗せとなる

これだけ条件が重なりますから、この取り組みが周知される2019年度に集客は加速することになります。したがって、キャッシュレス決済に対応できなかった調剤薬局は、大きな客離れが起きることは容易に想像できます。逆に、私のクライアントのように“今から”布石を打つことで、ライバルから患者さんを奪いとることもできます。ですが、重要なことは次の点です。

2019年の増税時には臨時の薬価改定が行われます。さらに、2020年には調剤報酬改定もありますし、薬価の改定は毎年行われるようになります。そして、ここに人口減少とキャッシュレス化、省力化の波が押し寄せます。これが調剤薬局にとってどんな影響を及ぼすことになるのか?

最悪の事態を想定してみました。

なお、最悪の事態と書きましたが、もしかしたら2022年にこの想定は現実となっているとも考えています

1.人口減少による市場の変化

厚労省が公開している2017年の人口動態統計(概数)によると、日本国内の日本人の出生数は「94万6,060人」である一方で、死亡数は「134万433人」でした。出生数から死亡数を引くと1年間で「394,373人」、おおよそ40万人も1年間で人口が減少したことになります。

日本で人口が38番目に多い町田市が約43万人、39位の藤沢市・40位豊田市・41位長崎市・42位柏市・43位高松市が約42万人、44位富山市・45位岐阜市が約41万人、46位枚方市・横須賀市が約40万人ですから、このような中核市ひとつが2017年に消えたことになります。つまり、今後は確実に来店する患者数が減少します。

重要なのは、人口ピラミッドの構造と地域差です。

もっと詳しく

2.社会補償費の増大と対人業務の質

年金と医療、介護・福祉などにかかる自己負担分以外の給付額や年金の受給額など、社会保障制度によって国や地方公共団体から国民に給付される金銭・サービスの年間合計額を社会保障費と呼びます。

社会保障給付費は2017年度120.4兆円と過去最高となりました。これは主に高齢者医療・介護給付費の増加したのが原因です。今後、団塊の世代が75歳以上となる2025年に社会保障給付費は総額で151兆円に上ると推計されています。

2015年と比較して2025年は医療費が1.5倍の54兆円、介護費が2.4倍の約20兆円とおおよそ30兆円も増えています。また、2025年の医療費と介護費の合計は74兆円ですが、2017年における日本の税収は約58兆円です。

こんな逆ザヤで日本はやっていけるのでしょうか?

3.薬価が毎年改定になる!

主要製薬会社10社の2018年4~6月期の国内医療用医薬品の売上高は10社合計で6698億円と、前年同期比5.7%のマイナスとなりました。4月の薬価改定に加え、主力品の特許切れも打撃となって10社中8社が売り上げを落としました。

そんな中、増収となったのはエーザイと小野薬品工業です。小野薬品の増収はわかりやすいですよね。ノーベル賞の件もありますが、オプジーボの薬価は23.8%引き下げられましたが、適用範囲が増えたこともあり販売数量の増加して売上高は15.0%増と伸びました。

さて、調剤薬局経営においても薬価差益の減少は収益に大きな影響を与えますが、薬価が毎年改定になるといったい経営にどんな悪影響が及ぶのか?あらためて確認しておきましょう。

薬価の毎年改定が調剤薬局に与える影響とは?

4.キャッシュレス化が及ぼす影響とは?

ペイペイで支払ったら20%還元。「100億円あげちゃうキャンペーン」は当初3月くらいまでを想定していましたが、開始からわずか10日の12月13日で100億円相当に達したため終了しました。その後、LINEペイが同じようなキャンペーンをはじめており、12月31日まで「LINE pay」で支払いをすると20%が還元されます。

この話を聞いてもことの重大性に気づかない調剤薬局経営者が多いことに気づき、正直、私はとても驚きました。逆に、私のクライアントはこのキャッシュレス化を逆手に取り、毎月20人以上の新規顧客を獲得しています。

したがって、このキャッシュレス化で適切な手を打たない調剤薬局は、2019年度中に1割以上の患者が他店に足を向けることになるでしょう。

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5.調剤薬局にドラッグストアが与える甚大なる影響とは?

調剤事業創成期には、門前病院の患者はすべて門前薬局を訪れました。その後、広域病院が処方箋をだすようになると、少しずつですが患者が地域の薬局を利用するようになりました。また、門前薬局の待ち時間が長いと、地域の薬局へ足を運ぶ患者も徐々に増えてきました。しかし、それでも調剤プレーヤーの主役は調剤薬局であり、それで十分に収益を確保できました。しかし…

そこに、ドラッグストアというある意味で異業種が参入してきました。そして、調剤薬局の既存の患者が、少しずつ少しずつドラッグストアに奪われるようになりました。つまり、今まで100のパイを調剤薬局同士で取り合っていたのに、そこにドラッグストアが参入してきたわけです。

2017年、ウエルシアの調剤併設店は1,025店(前年から131店増)となり、調剤併設率は66.9%(前年比6.0%増)に及びます。また、調剤売上高は約975億円(前年比27.5%増)で、調剤薬局チェーンのランキングでも6位となる勢いです。今後も、ドラッグストア各社は調剤事業に力を注いでくることは想像に難くありません。

新卒薬剤師の求人も、今後の調剤併設店の増加を如実に表しています。現在、在学中に奨学金を利用した薬科大学生がその返済を優先するため、初任給が高いドラッグストアを第一希望にする傾向が強まっています。

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6.人手不足と自動化という効率化が調剤薬局自らの首を絞めることになる!

薬価の引き下げにより、製薬企業がリストラを続けていることはご承知の通りです。また、調剤薬局の薬価差益も減少していますが、両者の板挟みで苦境にあるのが医薬品卸で、各社の営業利益率はわずか約1%程度のようです。

そんな医薬品卸は、人手不足も重なったこともあり各社とも物流拠点の効率化を推進しています。各社とも、従来の人員の4~7割で機能する拠点の整備を進めており、大きさや形状、重さが異なる製品をロボットで自動梱包するといった物流効率化の強化を図っています。

一方で、中小調剤薬局の人手不足(薬剤師不足)も深刻です。ですが、そういった現状の中で、経営者が自らの給与を確保するため、十分な設備投資をしていないと私は感じています。

ですが、そんな中でも調剤業務の効率化は進んでいます。また、その業務が効率化されるが故、私は次のような報酬が2022年の調剤報酬で消えてしまうのではないかと想定しています。

  • 日数加算
  • 一包化加算
  • 外用薬加算
  • 後発品加算

以下の記事をお読みになれば、この想定はとても近い将来現実のものとなることがお解りになることでしょう。

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儲かっている歯科医と貧乏な歯科医!そのビジネスモデルの違いとは?

厚生労働省の最新の調査(2016年12月31日時点)では、全国の歯科医師の数は10万4533人。そのうち、診療所の開設者または法人の代表者は5万9482人に上り、全歯科医師の約56.9%が一国一城の主ということになります。

薬局の数より歯科医院が多い。この事実からも歯科医院の競争激化は、歯科医師の収入にも大きな影響を与えていることが容易に想像できます。なんと、4人に1人は年収200万円以下で、100人中5人は申告所得がゼロだという話もあります。

一方で、儲かっている歯科医も確かにいます。そして、その理由は自由診療であることは、薬剤師の方ならご存知でしょう。

私は、この流れに乗れない中小調剤薬局は、今後とても厳しい状況に追い込まれると考えています。というのも、今は参議院選挙前なので静かですが、夏以降、2020年の調剤報酬改定の議論で昨年以上の厳しい意見が飛び交わされることは間違いないからです。まずは、厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)の第4回会合で、民間議員からでた意見を再確認しておきましょう。

花井十伍委員(ネットワーク医療と人権・理事)
「患者のための薬局ビジョンで対人業務にシフトすることが掲げられているなか、調剤のみならずOTCにも取り組むのは当然。むしろOTCが調剤より軽んじられていることに違和感がある」
山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML・理事長)
「大半の薬局は不十分で、その要因は調剤報酬だけで経営が十分にやっていけるところにある。多くの薬剤師がこの認識を変えなければ、(医薬分業は)コスト・サービスに見合ったものではない」
歯科医の現実と民間委員のこの言葉から、いったい何が見えてきますか?

まとめ

ガソリンスタンドの数は減り続けており、2017年度末時点で3万747店と、ピークだった1994(平成6)年度からほぼ半減しました。この事実から、今後の調剤薬局の景色は見えてきます。

田中角栄の日本列島改造論により、全国の道路は整備されていきました。また、ガソリン税を財源にモータリゼーションが進んだことで、ガソリンスタンドも一気に増えました。しかし、その後の技術革新で車の燃費性能が上がるとともに、人手不足に対応したセルフスタンドが普及しています。また、ハイブリッドカーの普及でさらに大きく燃費は改善し、今後は電気自動車の普及やシェアリングエコノミーの進展で、さらにガソリンスタンドが減ることは容易に想像できます。

ここで注目すべきポイントとは、ガソリンスタンドの普及は道路整備という国策のおかげであったという事実です。同じように、薬漬け医療からの脱却という御旗のもとに、薬剤師の多くが病院の門前を覆いつくす景色をつくりました。しかし、今後はハイブリッドカーや電気自動車の普及でさらに減少するであろうガソリンスタンドと同じように、さまざまな機器により薬剤師の仕事自体が奪われることになります。

すでに別記事でもご紹介していますが、過去には薬剤師が分包機にへばりついて一方化作業をしていましたが、現在では全自動分包機が徐々に普及しています。また、これはレセコンと連動していますから、調剤事務が処方箋を入力すれば一包化作業が終わるまで薬剤師の仕事はありません。あるのは、一包化の後の監査のみとなります。さらに、処方内容のレセコンへの入力も自動化されつつあります。

スマホによる遠隔診療も解禁になったようです。この遠隔診療における処方箋も、スマホで薬局に送信が可能です。そして、先のようにレセコンへの入力も自動で行われるようになるでしょう。したがって、薬剤師は自動分包機が一包化した薬を監査するまで仕事がなくなります。この事実は、いったいどんな未来を生むのでしょうか?

過去、処方せんを見て薬を棚から出して日数分揃えていた。こんな作業がすべて機械に置き換わることになります。また、分包機の目の前にへばりついて行っていた一包化作業も、それは同じです。そしてそんな作業だったからこそ、とりあえず日数加算や一包化加算がつきました。しかし、それが自動化されたらどうでしょうか?

私なら、外用薬と同じように10点とかになると想定します。もしかしたら、そんな作業に点数すらつかなくなることもあり得るでしょう。つまり、日数加算や一包化加算はなくなります。また、後発品加算もなくなるどころか、逆に基準を満たせない場合の減産算定になるでしょう。

こんな私の想定を、見て見ぬふりをしたくなる気持ちはわかります。が、調剤報酬がこのような改定にならない可能性は…      ゼロです。

したがって、ある意味では今後の調剤薬局業界は、力のある薬局経営者にとっては明るい未来となることでしょう。2019年から、調剤薬局の経営者の力量が試される時代となります。

調剤薬局の収益患者数×調剤報酬薬価差益

繰り返し指摘していますが、力のない薬局経営者は調剤報酬と薬価差益しか見えていないようです。しかし、薬価差益と調剤報酬は、ほぼ薬局側ではコントロールできません。その一方で、患者数は経営者の力量でコントロールが可能です。また、患者数がコントロールできれば、調剤報酬もある程度はコントロールできます。これは、2018年度の調剤報酬改定における集中率と基本調剤料からも明らかでしょう

そんなタイミングで、2019年10月に消費税が増税されます。また、キャッシュレス化が進みます。さらに、幸いなことに、大多数の薬局経営者がこの市場の大きな変化がどんな意味をもつのか?わからいまま日々をお過ごしになられています。そのおかげもあり、私のクライアントの方々は2018年、新規患者を獲得して大きく集中率案件を改善され、2020年の調剤報酬改定までに70%の達成は問題なくできそうです。

私のクライアントでもそういったことが可能なわけですから、どの薬局にも同じことができます。なぜなら、繰り返しますが、ほとんどの調剤薬局経営者は「経営」を知らないからです。また、調剤報酬は気にしますが、市場環境は目に入りません。ですから、私から言わせれば、そんな経営者は遊んでいるのと同じです。

最後に、ドミノ倒しのように調剤薬局の経営を悪化させる市場環境の変化がもたらす未来とは?で指摘しましたが、2019年に門前薬局を利用していた患者の多くが行動パターンを変えることになる。この事実だけは肝に銘じてください。そして、2020年4月の調剤報酬を笑って迎えることができるよう、今から準備をはじめましょう。

きっと、うまくいくよ!

 


【重要】

調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました

この大きな経営環境の変化の波に乗り、大きく新規の患者数を増やそう。そう思われる方は、キャッシュレス戦略セミナー2019にご参加ください。