ドラッグストアが最高益更新!今後、この事実が調剤薬局に与える影響とは?

よほどの経営努力がなければドラッグストアの集客力に太刀打ちできません!

「私たち3人一緒に同じドラッグストアに就職するんです」
「一番伸びているのが、ドラッグストアのようですから、決めました」

薬大の学生さんに定期的に会い、そこで毎年6年生の就職先や新卒の薬剤師に就職先を尋ねるのですが、最近は冒頭のような答えがかえってくることが多くなってきました。

理由としては、新卒薬剤師にとって条件面でも待遇が良く、また、ドラックストア側も積極的に薬剤師確保を目指しているためのようです。

その成功の背景には、ドラックストアの好調な業績とイメージの良さがあるようです。それを裏付けるような記事もありました。

ドラッグストア大手14社のうち12社が最高益!

『日本経済新聞』2018年8月30日朝刊によると、「ドラッグストア上場14社の18年度」12社が営業最高益とのこと。

しかも14社全社が増収を見込んでおり、調剤薬局を主体とするチェーンが苦心する中、大きく溝を分けられたような結果となりました。
記事によると、17年度のドラッグストア業態の売上高は前年度比6%増の6兆8504億円。伸び率が1%台のコンビニエンスストアや食品スーパーを大きく上回ったとあります。

また、ウェルシアの18年3〜5月期の品目別の総利益率(粗利益率)をみると、食品や家庭用雑貨は20〜25%にとどまっている。一方、医薬品や調剤、化粧品では軒並み3〜4割と高い。ともありました。

食品の取り扱い強化でスーパーから客を奪う!

ドラッグストア主要10社の2018年度の店舗数増加率は、17年度比7%増となる見込みです。その理由は日用品にプラスして、食品も大安売りで集客力をアップしたことによります。そして、重要なポイントはその店舗数です。

スーパーチェーンで最多の店舗数を誇るのがマックスバリューですが、その店舗数は全国でおおよそ500店。一方で、大手ドラッグストアは店舗数10位のクリエイトが559店(2018年5月現在)です。また、上位3社は優に1,000店舗を超えています。

食品の安売りにおいてドラッグストアが優位なのは、スーパーが品ぞろえを幅広く置いている一方で、ドラッグストアは目玉商品だけを大量購入できるというバイイングパワーです。店舗数がスーパーより多いうえ、目玉商品を大量購入すれば納入価格がスーパーより安価であるのは自然なこと。

事実、ドラッグストアの売り上げ高の約23%を食品が占めています。なかでも、九州地盤のコスモス薬品では食品が売上高の56%を占めています。このことから、今後ますますドラッグストア各社は食品を目玉に集客力を高めることになるでしょう。

調剤事業も着々と店舗数を増やしています!

営業利益が伸びている要因の一つに、薬剤師を確保して調剤業務を伸ばしている点が挙げられます。人口減少が叫ばれている現在では、処方箋枚数の伸びは今後期待できないと言われています。しかし、ドラッグストアの処方箋獲得枚数は毎年右肩上がりに伸びています。

つまり、これはどういうことかというと、調剤薬局での処方箋がドラッグストアに侵食されているのです。

薬剤師確保と売り上げを伸ばすことに成功しているドラッグストア。小売業の中でも特殊に成功していると言われています。しかも、国の医療費だけには頼っていない売り上げが主です

片や、処方箋枚数を確実にドラッグストアに奪われている調剤薬局。おそらく、近隣にドラッグストアがある調剤薬局では、ここ2~3年は毎年3~5%ずつ患者数が減少しているはずです。そして2019年、それは一気に加速することになります。その理由については、以下の記事でごしょうかいしていますので参考にしてください。

あなたがもしこの事実を知り、現在新卒の薬剤師であれば、どの就職先を選ぶでしょうか。

それは、学生にも伝わっているのかもしれません。
調剤だけではこの先ダメなのかもしれないと。

この先、調剤薬局が生き残る道はあるのでしょうか。

 


【重要】

調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました

この大きな経営環境の変化の波に乗り、大きく新規の患者数を増やそう。そう思われる方は、キャッシュレス戦略セミナー2019にご参加ください。