薬剤師の人件費より安いのに!薬剤師2人分の働きをするEser(錠剤全自動分包機)!?

日数加算と一包化加算はいずれ調剤報酬から削られて・・・の記事でもご紹介しました錠剤全自動分包機(以下イーサー)の性能がとにかくすごいのでご紹介いたします。

以下が機械の詳細です。

全自動錠剤分包機 Eser(イーサー)

これは薬剤を自動で一包化し、全自動で払い出す機械です。効率的で精度の高い一包化を、業界最速のハイスピード(1分間に65包)で行なうことができます。

さらに薬剤の跳ねや割れを最小限におさえる機能も兼ね備えています。また分包紙には、患者名や用法、日付けなどはもちろんのこと、設定次第では曜日、薬品名、病院名、病室番号、QRコードなど様々な情報を印字することができます

実際に私が以前働いていた調剤薬局にこの機械が導入されており、外来患者の一包化や介護施設の処方の一包化などに利用していました。

3人で1日140枚、うち3割(おおよそ50枚)が28日分の一方化という激務!

以前の職場は内科の診療所の門前薬局で、処方せんが100枚/日で、介護施設は5施設(約40枚/1施設)を受け持っていました。勤務している薬剤師は3人で事務は3人の計6人。外来患者の約3割が一包化、介護施設はすべて一包化という内容でした。

介護施設の処方せんがくる日には薬剤師3人で140枚の処方せんを捌くことになります。そしてそのうちの約半分が一包化の処方となると業務量はかなりのものになります

でしが、実際にはそこまで大変だったわけではなく、また施設の一包化調剤にもかなりの時間がかかったわけではありません。それはすべてイーサーのおかげだと言っても過言ではありません。

みなさんは40枚の介護施設の処方せんの一包化(処方内容のほとんどが6~8剤以上)を自分で撒いて調剤するとしたらどのくらいの時間がかかりますか?おそらく作るだけで1日はかかるのではないでしょうか?

私が働いていた薬局ではその40枚の処方せんの一包化は約半日で作り終わっていました。しかも外来患者の処方せんも捌きながらです。

Eserは薬剤師2人分の働き!

薬剤師が調剤すると1日で40枚、イーサーがそれを行うとその半分の半日で終わらせることができます。ということはイーサーは薬剤師の2倍の働きをしているということになります。

また、イーサーは事務の入力のパソコンと連動しているため、事務が入力をした情報をイーサーにとばすことができるため一包化の入力の手間もかかりません。それでかつ全自動で分包されて出てきますから、薬剤師がかかわっている部分がほとんどありません。わたしたち薬剤師はイーサーから出てきた薬を監査するだけでよいのです。

メンテナンスも簡単でした!

薬剤師より働くのに安い!(高いけど…)

さらにこのイーサーですが、薬局に導入したときの本体価格は約1500万円で、リースで約46万円でした。薬剤師の1か月の給料と比較すると、おそらく同じくらいかもしくは薬剤師の給料の方が高いのではないでしょうか?

イーサー1台で薬剤師2人分の仕事をこなすことができると考えるとコストパフォーマンス的にもはるかにイーサーの方が良いことは明らかです。

こう聞くと、以下のように思われる方のいらっしゃるのではないかと思います。

  • 「一包化の手撒きがなくなるなんて夢みたい」
  • 「患者の待ち時間が減るなら使ってみたい」
  • 「こんなにいいものがあるならもっと普及すればいいのに」

たしかに実際に以前の職場で使っていて、とても便利でかなり業務を効率的に行うことができていたと感じています。便利だからご自分の薬局に導入したいと思うのは自然なことでしょう。

Eserが導く未来とは?

ですが、よく考えてみてください。カンのいい方はもうお気づきでしょう。

イーサーを導入すると、従来の一包化に関する業務が以下のように変わります。

ポイント

  • 事務のパソコンと連動しているので薬剤師が一包化の入力をする必要がない
  • (カセットさえ作れば)全部自動で出てくるため、薬剤師が手撒きする必要がない

一包化に関して薬剤師がやることは何もなくなってしまうのです

なにが言いたいかというと、一包化加算というものが将来調剤報酬から消えてしまうのではないかということです。一包化加算というものは、いわば分包の手間賃のようなものです。しかしそれをすべて機械がやってくれるとしたら手間賃もなにもないですよね?

いまや医療費削減にやっきになっている国がこれをみたらどう思うでしょうか?調剤報酬改定で一包化加算も減算されていることを含めて考えたら、一包化加算が減らされるもしくは最悪の場合なくなることはあっても、一包化加算が増えたり現状のままということは考えられないでしょう。

いままでこういった加算のおかげで何とか生き残ってきた薬局だと、もしも一包化加算がなくなってしまったらどうなるでしょうか?

いま調剤薬局業界にはとてもきびしい逆風が吹いています。このまま何もせずにありもしない希望にすがって調剤報酬改定を待つだけでは明るい将来はありえません。

ですので、今後は最悪の事態も想定をしながらどう生き残るかを考えて対策を講じなければなりません。対策を始めるにあたり、早すぎるということはありません。出来るだけ早いうちから準備をしておきましょう。

 


【重要】

調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました

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