「社会保障、国の誤算!」との報道が調剤薬局に与える影響とは?
2019年10月から消費税増税がはじまります。この増税の目的は、皆さんもご存じの通り「財源の確保」ですが、今回も消費税増税による財源の確保がうまくいくのでしょうか。
タイトルにもありますように、今回は誤算であるとの報道がありますが、今回だけではないからです。
なぜならば前回の消費税増税などのときにも、本来の目的と違う使い方に方向転換するのが国の施策です。社会保障費にあてるといいつつ、政治のからみから変更になることは多く、計算どおり使われるとは限りません。
日本経済新聞2018年11月15日の朝刊、社会保証費抑制また誤算より引用
19年度の社会保証費は概算要求段階で29兆8000億円。一般会計の約3割を占める規模で、その抑制は予算編成の焦点だ。(中略)次の19年度からは数値目標を定めていないが、財務省は5000億円よりも深掘りすることを目指している。
また、薬価改定が毎年行われるように決定しましたが、2019年度は消費税増税に伴い、10月に薬価改正となる予定です。そのため、当初は薬価改正の予定が4月から半年遅れることで、社会保証費抑制のために捻出できる財源が半減する見込みとなる様子です。
さらに19年度予算編成で医療の負担増改革である
・75歳以上の高齢者について病院の窓口負担を原則1割から2割に引き上げ
・紹介状のない患者に定額負担を求める病院の対象範囲の拡大
・薬の保険適用を外すなどして患者の負担を引き上げ
・金融資産の多い高齢者の自己負担増
これらの4つについては、来年の参議院選挙に伴い改正を見送る公算が大きいと見られており、そのため社会保障費の伸びを昨年度同様5000億円以下に抑えるには、社会保障分野で最低200億円規模の歳出削減が必要だとされています。
さらに消費税率の引き上げにあわせて導入する軽減税率の財源の一部は、社会保障費の削減分から回す見通しともされています。
そのため、財源確保に走る必要があるので、予想以上の保険点数の引き下げがあっておかしくありません。想像以上のダメージとなる可能性もあるでしょう。
そのなかでも、薬局をとりまく環境は悪化の一途です。7月の制度部会の薬局・薬剤師の在り方を巡る議論でも、分業批判一色で幕を開け、「調剤しか行わない薬局」がやり玉に挙げられてきました。これは医師・歯科医師と比べ、政治力が弱い薬局・薬剤師が叩かれる図式ができあがっていると言えます。
つまり総合的に考えて、点数を下げうるターゲットとなるのは私たち薬局側にあると考えるのが普通です。さらにそのなかでも、前述の「調剤しか行わない薬局」に当てはまる薬局は注意が必要というのはいうまでもありません。
さらに日経新聞では、
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める22年度以降は社会保障費がはね上がりかねない。負担増の先送りは制度改革が間に合わなくなる恐れをはらむ。
とあります。ここでなんとか乗り切ったというぐらいであれば、その次の大きな波は乗り越えることができないということでしょう。
前回の改正では被害をうけなかったから、今回も大丈夫。という根拠なき自信は崩壊の一歩です。
本来の薬局として薬剤師としてやるべきことを見つめ直し、早めの対処を考える必要がある。国や国民がそのように言っているように感じますが、あなたはどのように考えますか?
【重要】
調剤薬局の収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。この内、調剤報酬と薬価差益は今後も一方的なルール変更が繰り返されますから、コントロールができません。一方で、患者数は経営努力次第で増えることもあれば減ることもあります。2019年、そんな経営者の力量が試される時代がやってきました。
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