Tiara(PTPシート全自動薬剤払出機)を導入するとピッキングの手間が半分以下に!?

2019年1月16日

今回はPTPシート全自動薬剤払出機のTiara(ティアラ)のご紹介です。

この機械が以前勤めていた薬局に導入されており、その性能がすごかったので今回の記事ではその性能についてお話していきます。

以下が機械の詳細です。

・PTPシート全自動薬剤払出機のTiara(ティアラ)

これはPTPシート状の薬剤を自動でピッキングして払い出す機械です。

払い出しのトレーは4つに仕切られており、薬剤は1種類ずつに分かれて払い出されます。1患者で5種類以上の薬剤が払い出される場合には、複数のトレーで対応します。

なお、設定により、1トレーに5種類以上の薬剤を払い出すことも可能です。払い出しが完了したトレーが、最大7個までストックされ、処方せんが集中する時間帯に力を発揮します。

ティアラから払い出した薬品の一覧を内蔵されたジャーナルプリンターから払い出しトレーに排紙します。

ジャーナル用紙には、以下のものが記載されています。

 

・調剤年月日

・時間

・ジャーナル枚数

・受付番号

・診療科名

・患者氏名

・日数

・回数

・用法

・半錠対象の薬剤などの調剤指示

 

また、ティアラ内部の在庫が不足していた場合は、払い出し不足の数量を白黒反転でお知らせするのですぐにチェックが可能です。

最新のセンシング技術を採用し、薬剤を傷つけることなくシートをカットします。処方通り、1錠単位で正確に払い出します。残った端数は、ティアラが個数を記憶すると同時に、カセット内に一時格納し、次に端数が発生する際に無駄なく使用します。

払い出された薬剤はポケットが向き合う状態でトレーに払い出されるため、監査や投薬時に再度揃える手間がありません。なお、払い出しの条件として、一包化や粉砕等の指示がある場合はTiaraから「払い出す/出さない」の設定が可能です。

薬剤の補充ですが、フロント扉を開けてカセットへ薬剤のPTPシートを補充するだけなので非常に簡単です。カセット前面の薬剤名シールには識別用の2次元コードを有し、オプションのティアラ用充填端末を使用することで充填ミスを防ぐことができます。

シートユニット1台に200個のカセットの収納が可能です。なお、同一薬剤を複数カセットに搭載することも可能です。また、採用薬の形状変更があったときでも、カセットの調整が可能です。

 

実際に私が以前働いていた調剤薬局にこの機械が導入されており、外来患者のピッキングに利用していました。

別記事「Eser(錠剤全自動分包機)の働きは薬剤師2人分!?」でもお話しましたが、私が以前働いていた職場の詳細は以下の通りです。

 

・内科の診療所の門前薬局

・処方せんは約100枚/日

・処方内容は主に高齢者の内科の定期処方28日分(処方のほとんどが5剤以上)

・薬剤師の人数は3人

 

 

ティアラを導入する前の話ですが、薬剤師はピッキングと投薬の担当はそれぞれ決めて通常業務を回していましたが、常に投薬の薬剤師がピッキングを手伝わなければならないほど通常業務は大変だったようです。待ち時間に関しては、早くても20分待ちで混雑時になると30分以上は必ず待たせてしまうような状況でした。

しかし、ティアラを導入してからは以下のように業務が効率化されました。

 

・薬剤師がピッキングしなければならない回数が半分以下に減った

・投薬担当の薬剤師がピッキングを一切手伝う必要がなくなった

・外来患者の待ち時間がなくなった(待ち時間が長いといったクレームが激減)

・ピッキング時の薬の種類や数量の取り間違いが減った

 

上記のように業務が効率化された結果、投薬担当の薬剤師に空き時間が生まれ、その時間に薬歴入力や他の仕事ができるようになったので残業も減りました。

ティアラを導入してから投薬担当の薬剤師のピッキングの手間がなくなり、ピッキング担当の薬剤師のピッキングの手間が半分に減ったことを考えると、ティアラは薬剤師2.5人分の働きだといっても過言ではないでしょう。

さらにこのティアラですが、薬局に導入したときの本体価格は約1400万円で、リースで約40万円でした。薬剤師の1か月の給料と比較すると、おそらく同じくらいかもしくは薬剤師の給料の方が高いくらいでしょうか?

そうするとはるかに薬剤師よりもティアラの方がコストパフォーマンスがよいのはお分かりいただけると思います。

こう聞くと、「ティアラを導入した方が絶対いいじゃん!」と思われる方もいらっしゃると思います。実際に私も導入されてからピッキングの手間が激減したので「ティアラめっちゃ便利!」と思っていました。

ですが、ここまでくればカンのいい方はもうお気づきでしょう。

ティアラを導入すると、従来のピッキングに関する業務が以下のように変わります。

・ピッキングにかかっていた手間が半分以下に減る

・ピッキングに関する人為的ミスが減る

国もこういった機械の有用性を理解しているはずなので、今後はこういった機械の導入を促す流れができるはずです。そうすると、どうなるかというと、調剤報酬の中の調剤料や日数加算が減らされるもしくはなくなるかもしれないということです。

薬剤師が調剤をしなくなる日が来る!

将来、薬剤師が薬を揃えたり確認したりといった作業を、まったくしなくなる日がすぐそこにきています。例えば、そのきっかけとなり得るのが米国Becton, Dickinson and Company社の日本法人である日本ベクトン・ディッキンソン(日本BD、東京都港区)の自動搬入・払出装置「BD Rowa Vmax」です。

http://www.bdj.co.jp/mms/bd-rowa.html

この機械では、処方箋の情報を基に、ロボットアームが装置内の棚に並ぶ医薬品の箱を取りに行き、取り出し口に自動的に払い出します。なお、払い出しにかかる時間は8~12秒、平均で10秒ほど。処方箋に複数の薬剤が書かれている場合も、効率的な動きで払い出します。さらに、医薬品の補充なども自動で行うため、補充の手間なども無くなります。

別記事「そう遠くない未来に薬局薬剤師の仕事が激減してしまうかもしれません!」を参照

ATTELNO2(薬剤監査システム)にも同じことが言えるでしょう。

これはバーコード認証により薬剤の監査を行うシステムです。薬剤のGS1-RSSコードをバーコードリーダーにかざすだけで、薬剤の種類と規格のチェックが可能で、PTPシートだけでなく、軟膏や点眼薬などのさまざまな包装形態も監査が可能となっています。またバーコード認証終了後、薬剤を天秤にのせることで1錠単位レベルまでの正確な数量監査を行うことができます。

別記事「ATTELNO2(薬剤監査システム)の導入で薬剤師がいらない時代がやってくる!?」を参照

いまや医療費削減にやっきになっている国が見過ごしておくとは到底考えられません。こういった加算が減らされるもしくはなくなってしまったら、ほとんどの調剤薬局にとって大ダメージになることは間違いないでしょう。

このまま何もせずにありもしない希望にすがって調剤報酬改定を待つだけでは明るい将来はありえません。

ですので、今後は最悪の事態も想定をしながらどう生き残るかを考えて対策を講じなければなりません。対策を始めるにあたり、早すぎるということはありません。出来るだけ早いうちから準備をしておきましょう。

調剤における収益=患者数×調剤報酬+薬価差益です。そして、このなかで唯一、調剤薬局がコントロールできる部分が患者数。経営者の力量次第で、この患者数は増やすこともできます。

そこで、患者数を増やす施策について、重要なポイントは患者への「教育」です。

適切な情報で患者を教育してあげれば、既存患者の流出を防ぐことができます。また、ご家族が他の薬局を使っているのなら、その処方箋を獲得できることでしょう。さらに、ライバルの調剤薬局から流出する患者も自店に招き入れることも可能でしょう。

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