オリンピック後に訪れるであろう調剤薬局の景色とは?

2018年9月3日

国の政策は、企業の経営状況に大きな影響を与えます。そもそも、調剤バブルも「医薬分業を進展させる!」という国策があったからこそ。超高齢化社会を目の前に、その国が方針を変更したわけですから今後の調剤薬局の経営環境もまた、次のような話からも容易に想像できます。

太陽光バブル

東日本大震災で原発事故が起き、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を利用する気運が高まりました。12年には再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、太陽光関連市場は急速に拡大しました。

当初、固定買い取り価格は高価格帯でしたが、現在では固定買い取り価格も年々減額され続けています。2018年どは1キロワット時あたり18円に引き下げられ、FIT導入当初の40円に比べ半額以下になっています。また、太陽光発電の普及が進むドイツやフランス、アメリカなどは5~10円程度とされ、経産省は今後数年かけて10円前後への引き下げをめざしています。

そんな太陽光関連事業者に倒産が相次いでいるのはご承知の通りです。

調剤薬局も同じです!

「太陽光パネルを並べただけで、そのままずっと儲かるわけないじゃん!」

ほとんどの人は、この太陽光関連事業者の末路についてそう思われたのではないでしょうか?私もその一人で、たったこれだけのことでパラダイスが続くことなどあり得ない。そう思っていました。そして、そんな未来が想像できた事例など山のようにあります。

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  • ビールや日本酒などの販売が自由化されたとき、酒屋がどんどん食っていけなくなった
  • デジカメが普及したとき、フィルムはダメになる-事実、コダックは倒産
  • スマホで写真がとれるようになったとき、デジカメは売れなくなる
  • CDが普及したとき、レコードは売れなくなる
  • MP3が普及したとき、CDも売れなくなる

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挙げればキリがありませんが、このように誰もが同じような未来を想像できるような事例は山のようにあります。 そう、人のことならわかるんです。 

ですが、自分のことになるとわからなくなる。

なぜなら、現実を「観なく」なるからです。

そこで、オリンピック後の世界を観ていきましょう。

オリンピックまでに進む「キャッシュレス化」という国策

訪日外国人をとり込む。これが、安倍政権が進める国策のひとつです。その国策は順調に達成されつつありますが、それとともに国が目指しているのがキャッシュレス化です。

韓国は1999年に年間カード利用額の20%を控除する制度を設け、3年間でクレジットカードの使用金額が7倍に増え89%になりました。また、中国60%ですが日本はわずか18%と、韓国の4分の1の水準です。

そんな日本の目標は、27年までに現金以外の支払い率を40%に高めること。その達成のため、成果を収めたとのこと。日本も韓国と同様、所得控除案を議論し19年度の予算と税制改正等に反映する計画です。

訪日外国人が多い所はキャッシュレス化に力を入れる!

東京や大阪、福岡など、訪日外国人が多い地域は店舗サイドもキャッシュレス化に力を入れています。そのため、先の国の政策が反映されると急速にキャッシュレス化が進むことになるでしょう。

例えば、地方が30%程度である一方で、都市部は50%といった具合です。

キャッシュレス化が進めばなお更ポイントに敏感になる!

クレジットカードの利用をすれば、必然的にポイントが貯まります。したがって、人はなお更ポイントに敏感になっていきます。これは、薬局経営者のあなたも同じでしょう。そして、そんな状況でもっとも調剤薬局に大きな影響を与えるのがドラッグストアでしょう。

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  • 食料品の品揃えをさらに強化し、集客力を上げる
  • 店舗独自のポイントが貯まる
  • クレジットカードのポイントも貯まる
  • 「ポイント何倍デー」など、店舗独自のキャンペーン

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こういった類のことで、処方せんのシェアを急速に伸ばすことになるでしょう。したがって、都市部の調剤薬局はオリンピック後に次のような状況に追い込まれると私は想像しています。

患者数7~15%減かつカード利用者50%の経営状態!

以下に患者数が7%、10%、15%減少し、カード利用者(手数料3%)が50%に達したときの状況をシミュレートしてみました。(単価1万円で利益が3割。現在1ヶ月1,000人利用者、販管費250万円、利益50万=5%で想定)

このシミュレーションは、もともと営業利益率が5%あったという前提です。ですが、私の体感では、ほとんどの中小調剤薬局の営業利益率は3%程度でしょう。そして、もし本当に3%だと次のようになります。

説明の必要もないでしょう。カード手数料は思っている以上に利益を減少させます。現状の売り上げが確保できたとしても、この利益率では設備投資もできません。

※ 処方せん簡易シミュレーターはこちら

そして重要なのは、これは「現状の調剤報酬が確保できている」という前提でのシミュレートであることです。

では、営業利益率が3%の薬局が、基本料2(1枚当たり150円利益減)になってしまったらどうなるのか?また、その上で7%客数減少したり、クレジットカードの利用率が半数に達したらという状況をシミュレートしてみましょう。

終わりましたね。笑

利益率が3%なら、カード利用率が50%になると基本料が2になっただけで利益がほとんどなくなります。その調剤報酬改定が、2020年のオリンピック前に待ち構えています。

そして、これは繰り返しになりますが、前回改定の大手チェーン狙い撃ちは「次は中小だからね!」というお知らせであると私は考えています。そしてそのとき、最低限の集中率は80%だと想定しています。

おそらく、このハードルだけで相当数の薬局が基本料2になるのではないでしょうか?したがって、今現在5%の利益率の薬局でも、基本料が2になれば経営は立ち行かなくなるでしょう。

客数減はカンタンです!

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===

ご覧のように、処方せん1500枚なら70枚は5%程度です。

そして、70枚は22日営業なら1日3枚程度です。

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もし、あなたの近隣薬局2件がヨヤクスリで集客を試みたとしましょう。そして運悪く、どちらもあなたの薬局から1か月20枚の処方せんを奪ったとします。これは、1日たった2枚の計算です。そんなの気づきますか?

もちろん、ドラッグストアが近隣にあれば同じことがおきるでしょう。

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれますが、客数減少も同じです。なにもしていなければ、静かに静かに、ですが確実に御社の客数は減少します。

また、キャッシュレス化の波もまた、同じように静かにそして確実に利益を食いつぶすことになります。そして、この波は防ぎようがないことを忘れないでください。

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当然ですが、保険調剤の支払いですから自己負担は3割や1割と人により違います。また、子供医療費がかからない自治体もありますので、このシミュレーターはそういったことを無視して100%負担を前提にしております。

ただし、カード手数料は3~4%と幅がありますので、キャッシュレス化による利益率への影響はこのシミュレーターの半分程度とお考えいただいていいでしょう。

逆に、この話を聞いて「小児科門前で良かった…」というのは早合点です。カード利用がない処方せんは、他の薬局にとってもおいしい案件。したがって、この取り組みで狙い撃ちになりやすいということは忘れないでください。

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まとめ

国策は強烈なパワーをもつこと。これは、
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  • 高度成長期に住宅産業が潤ったこと
  • 太陽光バブル

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そしてなにより、ほんの数年前までの調剤バブルを経験した経営者の方ならご理解いただけると思います。

そんな国策が方針転換を図っています。また、訪日外国人を増やす政策です。
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  • 2019年:ラグビーワールドカップ
  • 2020年:オリンピック

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訪日外国人にお金を使ってもらうためにも、キャッシュレス化は急務です。また、人手不足対応のために、それはなお更です。

2020年、次の調剤報酬改定が控えています。

「観たくない現実を見る」

現実から目をそらすことなく、確実な打ち手を打ちましょう。

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※ 正式募集は2019年3月末~を予定しておりますが、30社程度の先行募集を考えております。詳しくは「薬局ビジネス戦略研究会」をご覧ください。

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Posted by kuniaki